8.3 効率的な英単語の覚え方『暗記の6つの原則』

更新日 2021年5月9日


暗記の6つの原則

受験生から「英単語はどう覚えたらいいの?」という質問は本当に多いです。

本コラムでは英単語の覚え方を書きますが、漢字の覚え方も同じです。




英単語の覚え方の前に、まず『暗記の6つの原則』をお伝えします。

どれも個人の意見ではなく、都市伝説のようなあやしい類の原則ではなく、大学でちゃんと研究された内容です。

前置きが長くなりますが、最初にこの『暗記の6つの原則』を紹介します。

暗記の原則1:ミニテスト形式で覚える

パデュー大学が、学生180人に協力してもらい、「文章を読んで覚える学習法」と「テスト形式での学習法」と、1週間後にどちらが内容をよく覚えているか、という実験をしました。

その結果、同じ時間を勉強したとしても、テスト形式の学習の割合を多くするほど、1週間後に覚えている率が高いと分かりました。

裏を返せば、読んでるだけでは中々覚えられないということです。





これはアンケートでも確認できました。

以下に難関大受験者の「英単語を暗記するときに意識したこと」と「センター英語の得点」の関係をまとめました。



センター英語の得点が高い人は、英語か日本語のどちらかを隠して答えられるかを確認しながら覚えている、つまり解きながら覚えている人が多いです。


一方でセンター英語の得点が低い人は、④⑤の質問に「はい」と答えた人が多いことが分かります。

つまりセンター英語の得点が低い人は、解くよりも、読むか書くを中心に覚えている人が多いです。


ここから、聞いたり/書いたりしながら覚えるより、日本語か英語を隠してミニテスト形式で覚える方が良い可能性が高い、と言えます。

英単語を聞き流しているだけの人ひたすらスペルを何回も書いて覚えている人は、注意してください




暗記の原則2:間違えた単語を集中的に覚える

2巡目以降は、間違えた単語に集中することで最短で覚えることができます。
<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>




暗記の原則3:声に出して覚える

文字に加え、音も合わせることで覚えやすくなることが実験でも証明されています。
<9.6 声に出して覚えると効率が6%アップ>




暗記の原則4:復習時は全体を何度も繰り返す

1巡目はある程度単語の数を絞って集中して覚えた方が覚えられます。

ですが2巡目以降は、「1日10個に集中×10日」より、「1日100個をざっくり×10日」の方が効率がいいことが実験で証明されています。
<9.4 分散学習で効率が30%アップ>




暗記の原則5:ときどきランダムな順番で勉強する

何度もやっていると飽きてしまったり、単語帳の場所で覚えてしまったり、最初に出てくる単語の方が定着率が高くなったりします。

たまにランダムな順番で復習テストをするとより定着しやすくなることが実験で証明されています。
<9.5 ランダム学習で効率が8%アップ>




暗記の原則6:語源から覚える(人による)

語源から覚えると覚えやすいだけでなく、スペルの間違いも減り、また初めて見た単語を推測できるようになります。

少しでも体系的に覚える方が覚えやすい、という人にはかなりオススメです。

この覚え方が合わない人もいるので、試しにやってみて「覚えやすい」と思う人だけが採用するのがいいと思います。
<9.2 単純記憶より体系記憶で効率が上がる>








英単語を覚える手順:初めて覚えるとき

ここから『暗記の6つの原則』を元にした英単語を覚える具体的な手順を紹介します。

好みがありますので、ここに書くことの中で自分に合うものだけを採用しても構いませんし、自分に合う方法に変えても構いません。


英単語を初めて覚えるときには、1度に50~100個をていねいに覚えます。

<まずは音読>
①50~100個の英語と日本語を声に出し読む。
※「develop」⇒「発展させる」のように読んでいきます

<英語⇒日本語の確認>
②日本語を隠して英語から日本語を答えられるか確認、正解なら〇、不正解なら×をつける。
※最初は×だらけになりますが全く気にしなくて大丈夫です。
※日本語の答えはノートに書く必要はありません、1問やったらすぐ答え合わせします。
※最初は代表的な意味を一つだけ覚えれば大丈夫です。徐々に他の意味も覚えていきます。

③ ②で×だった英単語をもう一度確認し、正解なら〇、不正解なら×をつける。
※不正解の英単語に×がたまっていくことになります。

④全てが〇になるまで、③を繰り返す。
※繰り返すごとに〇がつく英単語が増えて、覚えるべき英単語が減っていき、どんどん楽になっていきます。





<日本語⇒英語 確認>
記述式のテストでは、英語のスペルを書く必要があるので、英語のスペルも覚えます。

⑤英語を隠し、日本語から英語スペルを書けるか確認、正解なら〇、不正解なら×をつける。
スペルを間違えたら、正しいスペルを1回書き、それを隠してから何も見ずにスペルを書く。これを繰り返して正しいスペルを書けるまで続ける。
※何も考えずに何十回も書くのは「やった感」はありますが、効率的ではありません。

⑥ ×だった英単語の日本語⇒英語をもう一度確認し、正解なら〇、不正解なら×をつける。
※不正解の英単語に×がたまっていくことになります。

⑦全てが〇になるまで、⑥を繰り返す。


50個の英語⇒日本語、日本語⇒英語の全てに〇がつくのに、早い人なら60分、時間が掛かる人でも120分ほどでできます。




英単語を覚える手順:復習テスト

初めて覚えたときに全部に〇がついても、しばらく期間を空けると忘れている英単語が必ず出てきます。

誰もが忘れるので気にしなくて大丈夫です。むしろ記憶に関する研究では、一度覚えてから数日の間を空けて、再び覚えることが重要であるとされています。

詳しくは以下の『忘却曲線』を見て下さい。
<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>


復習テストは50~100単語ずつを集中して覚えるよりは、1語1語をさっとこなして、英単語帳にある1400~3000語を何サイクルも繰り返した方が効率的です。

①英語⇒日本語 ミニテスト(1巡目)
数日掛けて英単語帳にある全単語について、日本語を隠し、英語から日本語を答えるテストをし、正解なら〇、不正解なら×をつける。
※間違えても戻らずに、最後の単語まで通してテストします

②英語⇒日本語 ミニテスト(2巡目)
①で×だった英単語をもう一度テストし、正解なら〇、不正解なら×をつける。
※この辺りから章ごとにランダムな順番でミニテストしていくのもアリです。
※またこの辺りから代表的な意味以外の、2つ目以降の意味も覚えていきます。

③全部に〇がつくまで②を繰り返す
大変なように思いますが、繰り返すたびに覚える単語が減っていくので、徐々に楽になっていきます。

①~③を日本語⇒英語でも同様にやります。


完璧に覚えられるまで、この復習テストを定期的に繰り返してください。




英単語のアフターメンテンス

『復習テスト』を数回こなすと、英語長文の問題を解く中でも効果を実感するはずです。

その後は長文などの問題を解く中で、覚えたはずの英単語が思い出せなかったときに、英単語帳を見直して☆チェックをつけておきます。

そして試験の直前に「×」がたくさんついている英単語、「☆」がついている英単語を中心に見返します。

それらはせいぜい100~200語ぐらいの数の英単語に絞れているはずなので、100~200語をもう一度覚えるだけで、2000~3000語の英単語を全部覚えたと同じ効果があるはずです。

いわば自分にカスタマイズした英単語帳、つまり覚えた英単語は全て除いて、自分が何度も間違えた英単語、または覚えたはずなのに忘れていた英単語の英単語帳とみなして短時間で効率的に復習することをおススメします。



本コラムのまとめ

暗記するときに大事な原則
  • ミニテスト形式で覚える
  • 間違えた単語を集中的に覚える
  • 声に出して覚える
  • 復習時は全体を何度も繰り返す
  • ときどきランダムな順番で勉強する
  • 語源から覚える(人による)

初めて覚えるときは、50~100語ずつを英語⇒日本語で、全てに〇がつくまで繰り返す(日本語⇒英語も同様)

復習テストで、全単語を英語⇒日本語で、全てに〇がつくまで繰り返す(日本語⇒英語も同様)

長文などで間違えた英単語があれば、英単語帳に☆マークをつけ、試験直前に「×」が多い単語と「☆」がついている単語を見直す。